Art & Technologyアートとテクノロジーについて

身近なところにあるアート&テクノロジー

ここでは身近な所にあるアート&テクノロジーとして3つ例をあげようと思います。

2.電車のダイヤ

もう一つは、「ダイヤ」です。
JR西日本の脱線事故が起こった次の週の授業を聞いてヒントをもらいました。
私は脱線事故が起こったとき、どうして人の命や安全性への配慮を怠ることよりも、
1分や2分の遅れのほうを恐れたのか疑問で仕方ありませんでした。
私はよく大阪環状線を利用しますが、ほんの数分のダイヤの乱れはよくあります。
遅延のアナウンスを聞くたびに、
「仕方ないか。でも、もっとゆとりのあるダイヤの組み方をしたらいいのになぁ」と思うことがしばしばです。

しかし、大阪や神戸のように人が密集する都市部では、ほんの少しの遅れであっても人々に大きな影響を与えます。
一体どのくらいの時速で走れば、定刻どおりに駅に着くのか。
どのくらいのタイミングで時間軸を組めば、乗換・乗継が上手くいくのか。
考慮することはさまざまです。

文献によると、列車の運行を折れ線グラフのように示した図表を「列車ダイヤ」というそうです。
列車ダイヤを見れば、各駅停車を特急が追い越したり、単線の駅で列車がすれ違う様子が一目瞭然です。
その背景には、数字ばかりの時刻表では現れない事実が浮き上がってきます。

列車ダイヤから読み取れるものとしては、以下のものが挙げられます。
列車線の本数から、線区としての重要度がわかり、
太線(特急)・細線(普通)の比率から、都市間輸送主体か、都市圏輸送主体か、並列か、
破線の数から貨物輸送の比重といった線区の位置付けを知ることができます。
朝通勤時間帯の列車密度・運行形態から、線区の設備能力(列車運行可能本数)を、列車の待避・追い越し・行き違いの回数から
運行の複雑さなどを推し量ることもできます。

列車のスピード、待避線の有無、駅ごとの乗降時間、接続の利便性、乗務員の交代・・・など、
ダイヤを組み立てる際に考慮しなければならない点は数多く、これらのどれが欠けても、
実際には運用できないダイヤということになリます。
列車が整然と問題なく運行できるのはダイヤがあればこそ可能な技術だと言えるのではないでしょうか。

このように電車のダイヤを見てみても、時間軸や時速を考慮する科学的な側面と、実際にダイヤを組むといった
編集・デザイン能力などのアートの面が組み合わされているのではないか
と思いました。

参照:「電車ダイヤのつくりかた」(著者:富井規雄)
   「列車ダイヤはこう進化を遂げた」(著者:和佐田貞一)

ARIE
arienoatorie@yahoo.co.jp