ここでは身近な所にあるアート&テクノロジーとして3つ例をあげようと思います。
一つ目は「映画」です。私は映画が好きでよく見に行きます。
それがどうやってつくられるか詳しくは知りませんが、そこにもアートとテクノロジーの融合がおこなわれていると思います。
映画をとりまくプロセスの中に、授業で紹介されていた巨大バッタ制作に共通するものを感じたからです。
椿昇+室井尚氏の「インセクト・ワールド 飛蝗(ひこう)」制作のプロセスにおいては、
アーティストがディレクターのような役割をして、
自分のイメージを具体的に描き何人もの協力のもと作品を完成させていたことを思い出しました。
そこではバルーンといった新しい、そしてスケールの大きい技術を使った表現方法がとられていました。
またアーティストは自分の思い描く完成像をCGで事前に計算していました。
さらに彼は外部との交渉、プレゼンテーション、打ち合わせなどを何度もおこなっていたのです。
これによってアトリエにこもって作品制作に打ち込んでいるという、
私の中の古いアーティストのイメージ像が大きく変わったのを覚えています。
彼は作品を完成させる過程において、たくさんの技術・人々と接していました。
巨大バッタのバルーンをロサンゼルスに外注したり
横浜国立大学の生徒たちにCGづくりのヘルプを求めていたりしていたことも知りました。
孤独ではない、多くの人々を巻き込んだ壮大なプロジェクトがそこにはあったのです。
アーティスト=ディレクター。
バックには巨大な資金が動いている。さらに外部に技術や協力を求めるといった依頼関係が成り立っている。スケールが大きい。
作品にはテーマ、メッセージ性が色濃く表現されている。そこにはテクノロジーとアートの融合がありました。
このような要素は、映画にもあると私は思います。
そこには映画監督を筆頭に、伝えたいコンセプトを明確に組み立て形にして社会に打ち出す。
またスケールの大きな作品には、高度な技術やCGがたくさん使われているのです。
映画監督はもちろんそれらを全部一人でこなすわけにはいかないから、たくさんの協力者を要請しているのだと思います。
それが、俳優であったり裏方の技師やカメラマンであったり、大勢います。
アイデアを形に、つまりイメージを一つの超大作に仕上げる映画でも、アート&テクノロジーの融合が垣間見られると思いました。
参照:横浜トリエンナーレ 2001 報告書 YOKOHAMA 2001: International Triennale of Contemporary Art
椿昇+室井尚 The Insect World Long Version+ https://www.youtube.com/watch?v=mJ6gHBt4W5o